出生届(しゅっしょうとどけ)とは
出生届(正式には出生届書)とは、その名の通り赤ちゃんが生まれたことを国に届け出るための書類です。出生届によって、その赤ちゃんの名前や性別、誕生した病院や、住所登録を行う住所、両親、世帯主などが確定され、戸籍に入ります。
出生届は、赤ちゃんが生まれた日を1日目として、14日目以内に市区町村役所に届けなければなりません。届出人(届出人欄に記入する名前)となるのは原則親ですが、役場に提出に行くのは代理人でも構いません。
14日目が休日や連休で役所が開いていない場合は、休日(連休)の次の日までの届けが認められます。念のために連休などに入る前に役所に確認をとっておくと安心です。
もし14日という期限に、正当な理由なく間に合わなかった場合、簡易裁判所から3万円以下の過料を納めるように請求されてしまいます。
重病や天災、事故など、正当と思われる理由がある場合は、「届出遅延理由書」を医師や警察に書いてもらい、出生届と一緒に提出することができ、この場合は過料は請求されません。「いい名前がどうしても思いつかなかった」などという個人的な理由は「正当」とは認められませんのでご注意ください。
ただし、どうしても14日目までに名前が決まらなかった場合、名前の欄を空欄で出生届を提出することが可能です。その場合は、後日「追完届」というもので決まった名前を届け出ることになります。
でも、これを行うと、戸籍にそれまでのいきさつや「名は未定」といった記述が残ってしまうことがありますので、あまりおすすめはできません。あくまで最終手段と考えた方が良いでしょう。
出生届の内容と、もらう場所、届け出る場所
出生届の内容は大きく分けて、用紙左側の名前や住所などを記入する欄と、右側の出生証明書欄に分かれています。
出生証明書欄には、出産に立ち会った医師か助産師に証明を書き込んでもらいます。
よって、たいていの産院には出生届の用紙があり、出生証明書欄に記入した状態でもらえるところが多いです。
病院でもらわない場合は、市区町村役場の戸籍の窓口でもらうことができますし、最近ではホームページ上から届出用紙のデータがダウンロードできる市区町村もありますので、利用したい場合は事前に市区町村のホームページなどをチェックしておきましょう。
記入済みの出生届は、3つの内のいずれかの市区町村役場に提出します。提出するところによって、提出枚数が違う点に注意してください。
1.親の本籍地の市区町村役場・・・提出枚数:1枚
2.親の居住地(一時滞在も含む)の市区町村役場・・・提出枚数:2枚
3.子の出生地の市区町村役場・・・提出枚数:2枚
ただし、親の一時滞在場所(例えば旅行先)などでもOKということなので、事実上日本国内のどこの役場でも構わない、ということになりますが、手違いでもう一度窓口に行く必要がでたりする可能性などを考えると、居住地など無難な役場を選んで提出しておくべきでしょう。
なお、海外で出産した場合は、現地の日本大使館か、領事館に届け出ることになります。(詳しくは後述します)
出生届の注意点
出生届を書く際に、気をつけなければならないことをご紹介します。
・漢字やふりがなの誤記
・用紙の左側にで親が記入した情報と、右側の出生証明欄に医師などが記入した情報に違いがある
・「生まれたとき」欄の時間を24時間表記で書いてしまう(午前・午後にチェックを入れて12時間表記で書きましょう)
・親の生年月日欄など、年を書く欄に西暦で書いてしまう(和暦で書きましょう)
また、役場に提出に行く際の注意点は以下。
・必要な出生届の枚数を確認する(詳しくは前述)
・母子手帳を持っていく(出生届出済証明に記入・押印してもらいます)
・届出人(通常は親)の印鑑を持っていく
・国民健康保険に加入している人は、保険証を持っていく
国民健康保険に関しては出生届を出しに行ったときに、その場で赤ちゃんの名前も登録されて、すぐに保険が使えますのでぜひ一緒に済ませておきましょう。
海外で出産した場合の注意点
ご主人の海外赴任に同行したり、長期の旅行先で出産をした場合、出生届は現地の日本大使館あるいは領事館からもらい、それを持って出産した病院に行って出生証明書に記入をしてもらい、再度大使館に行って届け出ることになります。
国内では提出期限は14日以内ですが、海外での出産の場合は出生後3ヶ月以内に届けることとなっています。
注意しないといけないのは、その国が「生地主義」だった場合です。
生地主義とは、その国で生まれた子供にはその国の国籍を与える、という考え方で、アメリカ合衆国、カナダ、ブラジルでは国内で生まれた子供には自動的に国籍が与えられます。フランス、ドイツ、中国などではパパかママのどちらかがその国の国籍を持っていた場合に子供にも国籍が与えられます。
つまり、アメリカ滞在中に子供を産むと、その子供は「アメリカ人」にもなるということです。しかし、出生届の「日本国籍留保」欄に署名・捺印すれば、子供が22歳になるまで日本の国籍も与えられ、アメリカと日本の二重国籍者となります。22歳になると、日本の国籍を維持して他国籍を捨てるか、日本国籍を捨てて他国籍を維持するかを選択しなければならず、どちらかを決めて国籍選択届を提出しなければなりません。国籍選択届を提出しない場合、日本国籍を失うこともありますので注意が必要です。
もっとも注意しなければならないのは出生届の「日本国籍留保」欄を空欄で出すと、最初から日本国籍が与えられないということです。海外での出産の場合は書き漏らさないようにしましょう。(通常の日本国内の出生届では必要ありません)
その他の手続きについて(住民登録・健康保険への加入)
出生届を出したら、親の住民票がある市町村役場に行って、赤ちゃんを住民登録しましょう。出生届を出す役場と同じ場合は、同じ日に行うと手間がかかりません。
手続きに必要なものは、印鑑と出生届出済証明された母子手帳です。
提出期限はとくに定められていませんが、住民登録していないと予防接種をはじめとした小児医療の補助など公的補助が受けられない場合がありますので、早めに登録しておくにこしたことはありません。
続いて健康保険への登録です。国民健康保険に関しては出生届を出しに行ったときに保険証を持っていけば、その場で赤ちゃんの名前も登録されて、すぐに保険が使えますのでぜひ一緒に済ませておきましょう。会社勤めの方も出来るかぎり早く保険が使えるようにすべきですので、やはり早く出生届を出して、会社の総務部などに相談して早急に保険の手続きを行ってもらいましょう。少なくとも1ヶ月検診の際には赤ちゃんの名前が入った健康保険証が必要になります。
また、出産時にもらえるお金などもありますので、もらい漏れがないよう確認した方が良いでしょう。