予防接種とは
赤ちゃんは生まれる時にママから病気に対する抵抗力(免疫)をもらっています。でも残念なことに、その力は生後数ヶ月経つと失われてしまいます。
そこで必要になるのが予防接種です。
予防接種とは、伝染病の原因となるウイルスや細菌の毒性を、発病しないまでに弱めて、それを注射などで体内に取り入れることです。
そうすると、赤ちゃんが本来持っている体の抵抗力によって、その弱まったウイルス・細菌に対して免疫をつけ、以後同じウイルスや細菌が体内に入った際にも打ち勝つことができるようになりますし、万が一発病した場合も軽い症状で済むことが期待されます。
予防接種には2つの役割があります。
ひとつは感染症などの病気から赤ちゃんの健康を守ること。
もうひとつは感染症の流行から社会を守ることです。
また、予防接種には一定の年齢なったら受けることが望ましい「定期接種(推奨接種)」と、受けるかどうかは親が任意で決める「任意接種」があります。
(1994年の法改正で、定期接種は「必ず受けなければならない」義務接種から「受けることが望ましい」推奨接種に変わりましたので、ある意味「定期接種」も任意です。しかし一般的には受けることがオススメされています)
「定期接種(推奨接種)」は法律で定められた年齢範囲内であれば無料で受けることができます。(一部の自治体では一部負担の場合もありますので、お住まいの市町村役場にご確認ください)
「任意接種」は原則として自己負担です。
赤ちゃん時の予防接種は0歳児のときに集中していますし、数週間おきに複数回受けるタイプの接種が多いので、きっちりとスケジュールを組む必要があります。とくに集団接種は実施日が決められていますし、年に2回しか実施されない自治体もありますので、そちらを優先して、個人接種はスケジュールの空いている時期に入れると楽になります。
なお、ある予防接種から次の異なる予防接種までに、どのくらいの間を空ければ良いかは、接種するワクチンのタイプによります。「生ワクチン」の場合は27日以上空ける必要があり、「不活化ワクチン」の場合は6日以上空ければ良い、となっています。
ただし、赤ちゃんの体調が優先ですので、スケジュールが崩れてしまう場合もあります。そんなときはかかりつけのお医者さんなどに相談してみるのも良いでしょう。
「定期接種(推奨接種)」の種類と時期
・BCG
昔はツベルクリン反応の注射を打って、結果が陰性だった場合にBCGの接種を受けていましたが、現在ではツベルクリン反応は行いません。
【推奨接種時期】生後6ヶ月未満(推奨は生後3~5ヶ月))
【予防する病気】結核
【次の予防接種まで】27日以上空けましょう
【備考】9本の針がある注射を2箇所に押します
・三種混合(DPT)
3種類の病気の予防。赤ちゃん時に3回プラス追加の1回(計4回)にわたって接種します。
3赤ちゃんの時の接種だけでは十分な免疫がつかないので、小学校6年のときにもう一度、今度は二種混合ワクチンを接種しますが、ここでは赤ちゃん時の説明をします。
【推奨接種時期(初回の3回)】生後3ヶ月目から1歳までの間に、3~8週間おきに3回
【推奨接種時期(追加の1回)】初回の3回目から1年~1年6ヵ月後
【予防する病気】ジフテリア(D)、百日ぜき(P)、破傷風(T)
【次の予防接種まで】6日以上空けましょう
【備考】初回の3回を3~8週間間隔で行うのは、その接種間隔が最も免疫効果を高めることができるからです。2回目で十分な場合もあるのですが、念のために3回行います。
・ポリオ
ポリオウイルスは腸から体内に侵入します。そのため免疫物質も腸内でつくられる必要があるので、予防接種はワクチンを飲むタイプです。6週間以上の間隔を開けて2回受けます。
【推奨接種時期】生後3ヶ月~1歳6ヶ月に6週間以上の間隔を空けて2回
【予防する病気】急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)(ポリオ、小児麻痺とも呼ばれる)※大人でもかかる病気です。日本ではほとんど感染者は出ませんが中国、東南アジアなど近隣諸国で流行することがあります。
【次の予防接種まで】27日以上空けましょう
【備考】注射ではなくスポイトでワクチンを飲ませます。
・はしか+風疹
過去にははしかと風疹の予防接種は別物でしたが、現在では、はしかと風疹2種類のワクチンが混合されています。はしかは感染しやすく、しかもかかると怖いので1歳になったら早めに受けましょう。1期と2期にそれぞれ1回ずつ、計2回受けます。
【推奨接種時期(1期)】1歳~2歳(1歳になったら早めに受けることが推奨されています)
【推奨接種時期(2期)】5歳~7歳
【予防する病気】はしか、風疹
【次の予防接種まで】27日以上空けましょう
【備考】注射ではなくスポイトでワクチンを飲ませます。
・日本脳炎
現在の日本では日本脳炎患者はほとんど見られませんし、日本脳炎ワクチンに急性散在性脳脊髄炎(ADEM)という病気になるかもしれないというリスクが発見されたため、積極的な推奨接種ではありませんが、希望者は下記期間であれば公費で受けることができます。3歳くらいで最初の2回、4歳で最後の1回というケースが多いようです。
【推奨接種時期】生後6ヶ月~7歳6ヶ月に1,2週間空けて2回(一般的には3歳)。その後1年あけて1回(4歳)。さらに数年後に1回(9歳)(計4回)
【予防する病気】日本脳炎
【次の予防接種まで】6日以上空けましょう
【備考】リスクがあるので現在は受けない人の方が多いようです
「任意接種」の種類と時期
・水ぼうそう
昔は水ぼうそうの予防接種はありませんでした。軽い症状で終わるケースが一般的ですが、なかには合併症をおこして死亡する症例もありますので油断できません。接種しておけば高い確率でかかりませんし、かかってもごく軽く、短い期間で直りますし、水ぼうそうにかかっている間は、保育園や幼稚園を休まなければならないので、受けておくにこしたことはありません。ただし任意接種ですので自己負担となります。
【推奨接種時期】1歳~
【予防する病気】水ぼうそう
【次の予防接種まで】27日以上空けましょう
【備考】定期接種を優先した方が良いでしょう。上の兄弟から感染するケースが多いようです。
・おたふく風邪
おたふく風邪は歳をとってからかかると重症になりやすい病気。1回受けると十分な免疫がつきますので、自己負担ですが受けておく価値はあります。
【推奨接種時期】1歳~
【予防する病気】流行性耳下腺炎(いわゆる、おたふく風邪)
【次の予防接種まで】27日以上空けましょう
【備考】定期接種を優先した方が良いでしょう。上の兄弟から感染するケースが多いようです。
・インフルエンザ
1歳未満は受けるべきではないとする見方と、生後6ヶ月を超えれば接種可能とする医師もいます。受ける場合は基本的に3週間空けて2回の接種が必要です。(1回で十分とする見方もあるようです)
小児科医の中でも、赤ちゃんのインフルエンザの予防接種に積極的な先生と、消極的な先生がいるようですので、パパとママが現状の感染リスクを考えて接種させるかどうか決めましょう。
なんといっても、外出する機会の多いパパ(あるいはママも)は、ウィルスに感染して帰ってくる可能性が高いので、予防接種は受けておいた方がよいでしょう。
予防接種に持っていくものとポイント
予防接種に持っていくのは、「予診表」「母子手帳」「健康保険証」「筆記用具」「オムツセット(おしりふきなど含む)」「ミルクセット(必要に応じて)」「着替え」「周囲の迷惑にならないおもちゃ(音や光など出ないもの)、絵本など」「タオル」「自分の飲み物」と言ったところでしょう。
予防接種を受けるに当たってのポイントは、まずは何といっても予防接種は赤ちゃんの体調の良いときに受けさせるということです。そのためには普段から定期的に熱を測って記録しておきましょう。平熱が高いのか低いのか、ママが把握しておきましょう。
次に、受ける予防接種について、地域の自治体などの情報を調べておきましょう。集団接種があったり、自治体によって独特のやり方がある場合もあります。
また、予診表は家で書いておくということ。現地で慌てて書くのはミスの元です。ただし保護者のサイン欄は空欄にしておきましょう。サインは、現地で医師から予防接種できることの確認が取れてからサインするべきです。
注射を受ける場合、脱いだり着たりしやすい服を着せておきましょう。
そして注射を受ける際は、赤ちゃんの体を自分の体に引き寄せ、をしっかりと抱っこして暴れさせないこと。
消毒の冷たい感覚や、注射の痛みで暴れたり、注射器に手を伸ばしたりと、思わぬ行動をするのが赤ちゃんですので、危険のないよう十分注意しましょう。